俺は走っていた。

それは、体育祭でこけた時を優に凌ぐスピードだった。

――なのに、だ。

【蛍】   「黒田――ッ!! 止まりなさいっ!」

【祐樹】  「うわああ、あいつ、追いかけてくる――っ?!」

今走っているのは、新校舎と旧校舎を繋ぐ連絡通路の
“屋根の上”だ。

【蛍】   「止まりなさいってば!
       あなた、たまたま屋根の上に落ちたからいいものの、
       もし怪我でもしたらどうするのよっ!!」